愛しき人へ


今…
どこに居るのですか?…



ねえ、
土方さん…
褒めてくれますか?




今年も桜が咲きました
もう…見ることが出来ないと思っていたのに…
もう…次の春まで生きられないと思っていたのに…
ほら…なんと綺麗な桜なのでしょう!
私…!
あなたのために、生きています!




ねえ…
土方さん…!
今、どこに居るのですか?
あなたが今、どこに居るのか…
そして今も生きていてくれているのかさえ
分からないでいるなんて…!
つらくて…
つらくて…
とても耐えられないんです…

あなたが北へ旅立つ前に私に残していってくれた
この隊服…
オレの形見だぞ!と言って渡してくれましたね。
こうして…
肌身離さずに抱きしめています…

あなたのにおいがします
優しく抱きしめてくれた腕や
励ましてくれた声や
ふたりだけで居るときの、
あの「あなた」も…

すべての思い出が甦ります

あちこち汚れているのさえ、愛しいです…

でも
もう…
もう…
こうしてあなたの思い出だけを抱きしめて
ひとりで生きているのに
耐えられなくなりました…

ねえ、土方さん…

私、そろそろ我慢しなくてもいいでしょうか?
一人ぼっちで…
苦しみに耐えているのが…
もう
限界になってきてしまいました…

でも!
でも、褒めて下さいますよね?
お別れの日
絶対次の桜を見るんだ!っていう約束…

果たせたものね。
頑張ったんですよ、ひとりでも!
毎日毎日、あなたに再び会えるのを楽しみにして
生きてきました!

でも…
もうそれもかなわなくなりそうです…

ごめんなさい…


土方さん…
でも…
私を褒めてくださいね。
ここまで頑張れたこと!
ひとりでも、泣かないで待っていたんですから。


ねえ、土方さん…

あなたの匂いがいっぱいのこのダンダラを
私の旅立ちのお土産に下さいね。
そしたら
ひとりぼっちの旅立ちも悲しくない
あなたのにおいに包まれて
私は笑って旅立つことが出来ます!


ありがとう…
桜さん…
もう一度、その姿を見られて、嬉しかったです…
だからお願いね。
土方さんの居る北では
桜はまだ咲いていないだろうから…
土方さんが、北で桜の花を見上げるときに
どうか
私が
幸福のまま
旅立つ事が出来たと教えて欲しいのです

桜さん
桜さん

私の願いは叶いました
最後まで
笑っていられました
思いっきり生きることが出来ました
「生きること」を教えてくれた土方さんへ
総司がありがとうって言ってたって…
伝えて下さい…

必ず…ね…


ありがとう
土方さん…
ありがとう…
愛を…

でも…
最後にひとめでも…
会いたかった…

土方さん…!
愛しきひと



        総司〜桜の絶唱   
                城みづき