ひとりぼっちのイヴにしないで

外からの冷気を気にもとめずに
ジョシュア剣心は窓辺に座って外を見ていた。
外はもう真っ暗。
特別な今夜。
人々はもう大切な人との楽しいデートをしているのだろう、家族とのプレゼントの交換などで賑わっているのだろう、
暗い夜道を出歩く人影は無い。

「24日はバイトも入れない。仕事もナシ。一緒にいるからな」と言っていた左之助は、
劇団の友人がするはずだったCM撮りの仕事を、その友人の急な風邪のために
朝早くから出掛けて行ったのだった。
「でも…」
「ワリイ!劇団の信用に傷がついたらマズイから…早く帰ってくるからな。」
「でも、さの、今夜は…」
剣心は左之助に言ってやりたい文句の言葉を深く飲み込んだ。
「うん…行ってらっしゃい…待ってるね…」
「おう!チュ!」
この窓から恨めしく左之助の後ろ姿を見送ったのだった…

「早くさの…帰ってきて…ひとりぼっちのイヴにしないで…」

左之助が劇団の仕事をとりわけ大切にしていることも、仲間達の為にいろいろとしていることも、
良く良くわかっていた剣心だったが、さすがに今夜は特別な日。
ひとりぼっちの心細さが身にこたえた。
いや…左之助が剣心を大事に想っていてくれていることも充分にわかっていたのだが…
剣心の大きな瞳から
一筋 光るものが流れ落ちた…
「さの…早く帰ってきて…」
剣心は祈るように窓辺に座ったまま、左之助の姿が見えるのを
じっとじっと待っていた…

その頃左之助はというと、駅からアパートへの道を大急ぎで走っていた。
ふところには、そこのコンビニで買ったほかほか肉マン…
剣心の大好物だ。
もうすぐだ!
あの角を曲がればアパートの窓が見える。
お前が待っている部屋の明かりが見える!
まるで幸福の証のように、そこだけ特別あったかく輝いて見えるんだよ!剣心!
そして、メリークリスマス!と言うんだ。
思いっきり抱きしめてキスしよう。
好きだ、剣心!
左之助は更に走るスピードを上げた。

   さてジョシュア…
   君のサンタはもう
   すぐそこにいるよ…
   メリークリスマス♪
   ふたりに神の祝福を!
               
               城みづきより愛を込めて


緋田ポンカンさんからのイメージ画像♪