雪の聖夜

   雪が降っていた。
     音も立てずに、静かに…
     それはまるで恋人達の逢瀬の邪魔をするのを
     憚るかのようだった…
                
     左之助は 胸にもたれかかる恋人の
     長く赤い髪をゆっくりと撫でていた。
     剣心は黙って左之助の手の動きを感じながら
     力強い鼓動を聞いていた。
     ふたりとも
     何もしゃべらずにいた。

          ただ お互いがいれば良かった。
          幸福な幸福な時間だった。
          見つめ合い
          それでも何も語らずに
          微笑みあった…
          今
          目の前にいる恋人の
          あたたかな視線だけ
          感じていれば満足だった…
               
          ふたりだけで過ごせる至福の時を
          永遠に続くことを願っていた…

             胸いっぱいに広がる
             相手への愛しさだけを感じていた
             静かな静かな夜だった…