君さえいれば…  何奴 仁


6月20日
いったい何度目なのか・・・かぞえる気もない程この日を送ってきた。
ただただつらくこの日を過ごしたあの10年間・・・それでも、生きて来れた。
だからこそ、お主に会えたのだとあの時ほど師匠に感謝した日はない。
辛くても生きたから、その褒美なのかもしれないと思った。
こんな褒美を、俺はもらう資格などないのに、神は何を考える?


でもね・・・俺は今最高に幸せなんだよ。
お前がいる、左之・・・



「剣心っ。」
突然の左之の訪問に拙者はいささかまよった。
「え・・・?どうしたのでござるか?」
洗濯物も干し終えてやっと家事から解放されたと思い、
縁側で一服しているときだった。
「とぼける気かぃ?今日はオメェのでぇじな日じゃねぇか。
一緒に祝いたくってよっ」
そういうと左之は、“誕生日おめでとう”と書かれた紙を添えて、
小さな包みを拙者に渡した。
「こういうとき、むこう(外国)ではこういうらしいぜ・・・
“ハッピーバースデー・・・ってな。」
「はっぴ・・?」
拙者は心底嬉しかったのに、とぼけることしかできなかった。
「ハッピーバースデーだよ。おめでとう、剣心。」
そういって左之は、拙者の唇に軽く口づけをした。
暖かく弾力のある、いつものそれ・・・

「あけてみな。」
言われるがままに、拙者はその小さな包みを開けてみた。
「これは・・・」
左之は照れくさそうにそっぽをむいた。
中には、小さな光る石・・・宝石というものがついた指輪が入っていた。
「蒼い石にしたんだ。オメェの瞳(め)と同じ色だぜ・・・」
左之はその指輪を、拙者の左手の薬指にはめた。
その時触れた手と手の感触が心地よい・・・
拙者はその石に、自分の顔を映した。
己の目がより蒼く見えた。
「何故、ここに・・・?」
「そこはさ、婚約指輪をはめる指らしいから・・・」
拙者の顔はたちまち赤くなる。
「いつまでもいっしょにいようって意味を込めてんだぜ。」
太陽が、笑った。
影にも、日が照ってきた。
暖かい、日が・・・

「・・・・」
しばらく、初めてみる石に、自分の顔をうつしていた。
左之が、笑っていた。
「気に入ったかぃ?」
「!」
拙者はさっき以上に顔を染めた。
「こんな女子供がやるものなぞ買ってきて・・・!!」
拙者は変な意地をはって、指輪を外そうとした。
それを、左之の手が抑える。
「本気なんだ。」
真剣な顔だった。
今までの雰囲気とはうってかわり、左之は、荒々しく食らいつくすような勢いで、
己の唇を重ねてきた。
その想いに、拙者も答えねばと、思った。

左之の舌が、奥まで入ってくる。
絡み合う舌と唾液。
その時、自分はこの男に本気で惚れていると、確信させられた。

左之が、荒い息で唇を離した。
「・・・好きだ。」
拙者は・・・
「拙者は好きではない。」
といった。
左之の顔が、曇る。
「愛してる・・・だ。」
そう言い直した。
照れくさかった。
左之が安心したように目を潤まして拙者を抱きしめた。
そして“俺もだ・・・”と言った。

その後は長屋にて、熱をもった肌を交わし合った。
左之は拙者の様子を見て、笑って可愛いと言った。
照れた・・。

これからも、たぶん拙者たちは変わらないと思う。
愛してるんだ、左之・・・
お主を・・・・失うことなんて、冗談でも考えることなどできはしないんだ。
ずっと、ずっと側にいて欲しいよ・・・
左之・・・お主さえいれば、何もいらない・・・

お主さえ・・・



本当に短いのですが・・・お詫びということで、受け取ってくださいね。
剣心の幸せな一瞬を書きました。
題は、“君さえいれば・・・”です。
君とはもちろん左之助のこと♪
君にしたのは、名前でなく代名詞(だったっけ?)をいれたかったのですが、
“お主 さえいれば・・・”とか“そなたさえいれば・・・”じゃちょっと・・・と思いまして^^;
受け取ってくださいっ

           何奴 仁より剣心のお誕生日に添えて






仁ちゃん!
うはあ〜!なんとなんと告ってる左之助ではありませんか!
それも婚約指輪ですかあ?
うわあ〜、剣心、いいなあ!
ワタシも左之助から指輪欲しいんですけど…(笑)と
思わせるような、いいお話でした!
剣心の、照れくさそうなカンジもとても素敵ですね。
そりゃあ照れるしかないでしょうね、10も年下のオトコに
婚約の証…みたいなシナモノをもらっちゃったら…
でもとっても嬉しかったハズ!ええ!
そんなふたりのやりとり、とてもすがすがしく感じました。

剣心への恋心は、きっと仁ちゃんのカレへの恋心なのでしょう。
素敵な贈り物を、どうもありがとうございました。
いつもフル・スロットル&城みづきを応援してくれて
本当に感謝デス♪


        
城みづき 拝