「鏡石」

― 左之助の部屋 ―

「・・ん・・ぁ・・はっ・・」
押し殺したようなくぐもった声が響いてくる。
「ぃい・・さ・の・・」
声の主は剣心で赤い髪を振り乱し、左之助に奥まで貫かれるたびに喜びの声を漏らしていた。
長屋の壁は薄く、たとえ押し殺そうと思っても隣には声が筒抜けである・・
幸いだったのは、今は隣が空家であったこと・・。
「剣心!」
一際強く剣心に身体を押し当て、左之助は情欲の雫を剣心の身体に注ぎ込んだ。
同時に剣心も小さな身体を仰け反らせて左之助の想いを受け止めていた。
剣心を抱き締めたまま眠りにつく左之助。
直ぐに軽い寝息が聞こえ始め、左之助が眠ったことを確認する剣心・・
自分を抱き締めてくれている腕をソッとほどいて起き上がると・・左之助の背後に移動した。
(最近の拙者はどうしたのだろうか?)
身体が火照って眠れない・・

左之助に愛されて幸せだと思うのに、自分の中にくすぶっている何かがある・・。
剣心は自身に右手を添えると、ゆっくりと上下に動かし始めた。
「・・ぁ・・はぁ・・」
そう・・先程達する事が出来なかった剣心は・・自身を慰み始めていたのだ。
左手を菊門に滑らせると指を挿れる・・左之助自身から出された白濁の液が
トロリとしていて潤滑を良くさせた。
クチュッ・・チュプッ・・
右手からも左の指からも淫らな音が響いてくる・・
(あぁ・・拙者は何を・・左之が・・左之に知られたら・・)
この音が聞こえてしまわないか?
この声で起きてしまわないか?
しかし・・皮肉な事に、その気持ちが更に剣心の身体を火照らせて
快楽が全身を包んでいった。
(あぁ!)
ドクンと剣心自身が脈打ち、欲望が放出された。
心地よい脱力感を得て・・剣心はそっと左之助の腕の中に戻っていった。
剣心が寝息をたてる頃、左之助の瞼が静かに開かれた。
(剣心・・お前・・)
剣心が達していないのは左之助も知っていた。
自分の背後で何をしていたのかも・・
「お前が望む事・・何となく解かったよ・・」
腕の中で眠る剣心の髪を優しく撫で付け、左之助は再び眠りについた。

― 翌日 ―
「左・左之・・何処まで行くのでござるか?」
グイグイと手を引かれ、剣心は行く先を尋ねた。
左之助は無言のまま・・有無を言わさない様子で歩いていく。
そして辿り着いた所はボロボロになっている廃寺だった。
「こ・ここは・・」
剣心の言葉を無視して、左之助は中に引き入れる。
中は暗がりとなっていたが、壊れた壁の隙間から光が差し込んでいて
お互いの姿は充分認識できた。
「さ・・左・・ん!」
不意に塞がれる唇。
いつもの優しい口づけでなく、強引な・・貪るような口づけ。
差し入れられた左之助の舌は、剣心の口腔内を隅々まで侵していく・・
その間に左之助の右手が下方に移動して、着物の上から剣心自身を
包むように当てられた。
「もう・・こんなになっているのか?」
左之助の右手が触れた剣心自身は、着物の上からも解かるほど・・いつもより
硬く大きくなっていた。
「そ・それは・・」
恥ずかしさに頬を赤くする剣心。
そんな剣心に、左之助は嫉妬にも似た感情が沸き起こってくるのを感じていた。
右手にグッと力を込める・・
「痛ぅ・・」
握り潰されるかと思うほど、強く自身を握られた剣心が苦痛の声を漏らした。
背後は壁で逃げようも無い・・肌けた襟元を、更に左之助の左手が開き
白い肌と胸の蕾が露になった。
「こんな事でも感じるのか?」
淡々とした左之助の言葉に、思わず顔を背ける剣心・・
「・・ぁあ!」
悲鳴のような声が剣心の口から漏れた。
左之助の左手は胸の蕾を捕らえ、引き千切るかと思うほど指で押しつぶし、
引っ張り上げたのだ・・。
「・・ぁ・・ぃぃ・・」
苦痛と快楽が入り混じり、剣心の口からは喜びの言葉が飛び出した。
「・・そうかい・・」
不意に剣心から両手を離す左之助。
「んぁ・・左之?」
懇願するような眼差しで左之助を見上げる剣心。
「ねだってみろよ・・」
その言葉が何を意味するのか・・剣心は思案し・・両膝を床につけると
左之助自身に手を添えて覆っている布を退かし始めた。
「んん・・」
口に含んで舌を絡め、時に喉の奥まで頬張るように引き入れ陰圧をかけた。
「そうじゃねぇだろ!」
左之助が剣心の髪を掴んで動かし始めた。
喉を突き破るように勢いをつけて頭を動かしていく。
剣心が眉間に皺をよせて堪えている様を見下ろしながら・・
「んむぅ・・ん・・」
苦しげな声が剣心の口から漏れ始めると、左之助自身がビクンと脈打ち
先端から白濁の液が迸った。
「飲め!」
剣心の頭を押さえて逃れられないように固定する左之助。
ゴクリ・・剣心の喉が鳴り、青臭い匂いが口腔内に充満した。
「ゲホッ・・ゴホッ・・」
やっと解放された剣心が呼吸を整える。
が、左之助は・・ドンッと剣心を突き飛ばした。
「自分でしてみろよ・・俺の背中でしていた・・昨夜のように」
左之助の言葉が剣心の抵抗力を奪ってしまった。
「ぁ・・左之・・」
知られてしまった罪悪感と見られている快楽が剣心の身体を駆け巡っていた。
昨夜のように手を添え、指を菊門に滑らせて自慰を行なう剣心。
「あぁ・・左・・之・・んぁ」
その淫らな剣心の姿をジッと見つめる左之助・・
(チッ!剣心の奴・・)
妖艶なまでの剣心の姿に、左之助自身は首をもたげて先端から
透明な液まで流し始めていた。
もう直ぐ達する!というところで、左之助が剣心の両手を掴んで辞めさせた。
「ぁ・・」
中断された快楽は苦痛に変わる・・だが、左之助は剣心自身に
自分の鉢巻を巻きつけて達することが出来ないように施した。
有無を言わさず、剣心を抱き上げると・・左之助は一気に
自身を剣心の菊門に沈めた。
「あぁ!左之・・痛・・ぃ・・」
充分に開ききっていなかった門はキュッと左之助自身を締め付ける・・
それでも構わず、左之助は腰を突き上げていった。
「お前さんが、今までの俺のやり方でいけなかったんなら・・
俺がやり方を変えるまでだ」
更に奥深くまで貫く左之助。
いつもとは違い、荒々しく・・押し入っていく。
剣心の内を掻き回すように腰を動かし、激しい律動を繰り返していく・・。
鉢巻を巻きつけられた剣心自身は、布が食い込むほどに膨張し
先端の血流が悪くなりつつあった・・
それでも、剣心の表情は喜びに溢れているようにも見えた。
「左・・の・・いぃ・・ぁ・・もっと!」
左之助の背中に剣心の爪が赤い痕を残していく。
「クッ・・千切られそうだぜ・・剣心」
左之助の口からも苦痛の声が漏れる。
剣心を抱えたまま、左之助は場所を移動した・・裏手にある大きな石の前まで。
「剣心・・向き変えるぜ」
繋がったまま、剣心は石の方に顔を向けさせられ・・赤面した。
「左・・左之・・」
それは鏡石と呼ばれるもので剣心の前面が映し出されていた。
「ちゃんと見ろよ・・」
剣心の耳元で囁く左之助。
左之助に抱きかかえられしがみ付くように両手を左之助の首に廻している・・
淫らな音と共に左之助自身が剣心の菊門を出入りする。
恥ずかしいと思うのに、自分の姿を・・左之助と繋がっているあられもない姿態を
見ればみるほど、身体の中を興奮が駆け巡っていった。
繰り返される律動・・喘ぎ声が響き、次第に大きくなる。
「あ・あ・・左之・・お願い・・外して!」
限界を訴える剣心だが、視線は映し出されている己の身体に釘付けとなっている。
「いいぜ・・イクなら一緒だ!」
もどかしそうに鉢巻を外す左之助。
「んぁ・・はぁあ!」
剣心の声と同時に、二人は液を迸らせていた・・
「すまんでござる・・左之・・」
息を切らせながら謝る剣心。
クスッと微笑みながら余韻を楽しむ左之助。
まだ剣心の内にある自身がピクピクとしていて心地良い。
「・ぁ・・ん・・」
剣心も敏感に反応する。
「こういうのも、面白いもんだな・・また、やろうぜ」
優しい口調と・・優しい口づけをする左之助。
鏡石はそんな二人をずっと映していた・・。


                     ― 終わり ―




有紀れなさん    「蜃気楼」

城さんへ!
『左之助と剣心の鬼畜』・・とリクエストを頂き・・
正直言うと書けるとは思っていませんでした。
ところが・・城さんの愛が強いのか?
不意に私の頭の中に浮かんできて・・(笑)
書き上げたのは2時間弱ほどでございました。
鬼畜と言いますと、縛るとか鞭とか出てくるのが多いのですが、
今回の剣心には良心の呵責のような・・
それでいて味わいたくなるスリルのような責めを受けて貰いました。
心と身体のバランスを保つ為に自分を慰める剣心と、
剣心の望む事をしてやりたいと思う左之助・・
そんな二人を書いてみたつもりです。(^^;)
えぇ・・つもりなのですよ。(苦笑)

城さん!お待たせしてしまってスミマセンでした。
しかも、リクエストに添っていないような気もするし・・。(汗)
剣心って、身体的な傷では我慢できちゃうような気がするんですよ!
書き方を変えてみたいなぁと思っている最中なので、
表現がイマイチかも・・。
(あ・・それは以前からですね??^^;)
これからも精進いたします〜!!

  


★ああ!れなさん!
何て素敵な小説!どうもありがとう!
夏コミで私とペンギンちゃんに
しつこくリクエストされたれなさん、
あの時はごめんなさいねえ。
でも大盛り上がりで、とても幸福なひとときでした。
一年以上も会わなかったというのに
きのう会ったような感覚!
やっぱりさの剣が結び付けてくれたのですねえ…

左之助が隣に寝ているというのに
やっちゃう剣心。
鏡石に映る自分達の淫らな姿に
尚の事燃え上がる剣心の表情…見えるようです、たまりません!
大人の作品という感じです!
ほんとうにどうもありがとうございました。
そして次回作のリクエストもしっかりと受けとめて下さって、
ありがとう〜〜〜♪