「左之助!お前ぇ、まるで獣だな!」 七条飛白

  ある日の事だった。
東谷家に予想もしない来客があった。

「俺の女房!!」
そういって左之助は剣心の肩に手を置く。
「”剣心”といいます。よろしくおねがいします。」
その来客は深深と頭を下げた。
「お・・・おう・・・」
上下衛門は突然の出来事にそんな返事しか出来ない。
右喜は「なに?この人」という目で剣心を見ているし、央太は右喜の後ろに隠れて出てこない。
「おう!なんだあ、人が折角嫁をつれて里帰りしてるってーのにそろいもそろって、そのツラァ」
上下衛門は剣心の肩に手をやるとこう、問うた。
「・・・あんた、うちの左之助になんか弱み握られちゃあいねぇか?」
「はあ!?」
「こらァ!クソ親父!なんだァその言草ァ!
俺と剣心は愛し合っているから一緒になったんだ!
くだらねえ事言ってるとはったおすぞ!」
「ムッ!なんだ実の父親に向かってその言葉は!!取り消せ!」
「うっせぇ!!」
「左之」
左之助の握られた拳に剣心の手が添えられた。
「・・・拙者は気にしていない、だから、な?」
「お、おう。」
剣心の悲しそうな目。
そんな目を見せられた日には大人しくひきさがるしかないだろう。
「がははは!なんだおめぇ!尻にひかれてんのか!!」
「なにおう!!」
「左之!」

あれから夕食を済ませた二人は上下衛門に二人の馴初めは?などと質問責めにあっていた。
「で?左之助のドコがよかったんだ?」
「え?あ、」
「やっぱりアレのでかさか?だははは!こいつは子供の頃からでかかったしな!」
「!!」
「だァほ!!なんつー事言いやがる貴様っ!」
顔を赤らめる剣心であったが左之の・・・と、ちらりと見る。
「コラ!剣心っおめーもっ!(汗)」

夜。
左之助と剣心は上下衛門と同じ部屋で寝ることとなった。
何しろ家が狭い。
「しばらくの辛抱でござる。」と、剣心は言うが、
その辛抱が左之助にできるかどうかは保証がないけれど。
「おう!おめえら、同じ布団でかまわねぇよな!夫婦だからな!
嫌だって言っても布団はそれきりしかないがな!」
ごそごそと布団に入るなり上下衛門は大きなイビキをかきだした。
「うっせえなあ、今も昔も、ちったあ人の事考えろってんだ、」
「くすくす」
「あん?何笑ってんだよ」
「そう言う左之もイビキをかいているでござるよ」
「ぐっ・・・まあ、でもあんなにでかくないだろ?」
「さあ?どうでしょう?」
そんな他愛のない話をしていたがだんだん睡魔が襲ってきたのだろう、
剣心が小さな寝息をたてだした。
「あンだ、寝ちまったのかよ」
つまらなさそうに左之助がつぶやく。
そして、なにを思ったか、隣で上下衛門が寝ているというのに
左之助は剣心の首筋に唇をあててきた。
「ん・・・」
左之助の唇は止まることなく鎖骨、胸へと降りてきた。
「あっ、ん、や、左之」
その感触で剣心は眠りから引き戻された。
「こら、何をしておる」
「何って・・・決まってんじゃん」
「馬鹿者、隣に・・・」
「寝てるって、聴いたろ?あのでかいイビキ、な?だから大丈夫だって。」
なにが大丈夫なのだ、と剣心は左之助から体を離そうとしたが左之助の腕が剣心の腰を離さない。
「ん、やだって、左之」
「いいから・・・」
「なにがいいって?・・・あっ」
左之助の指が剣心を撫でる。その動きに「ダメだ」と思っても声が漏れそうになる。
「・・・なんか、こういうの興奮するな・・・」
「やっ、あっ・・・」
いつものようにいつもの左之助の愛撫。隣に実の父親が寝ているというのにこの男は・・・
「あぁ・・・だめ、声がでちゃう」
「だせばいいじゃねえか、俺もお前ぇの声が聴きてぇでも奴のイビキのほうがでか過ぎだがな」
「あっはぁ、・・・あっ」
「入れるぜ?剣心」
「えっ・・・やっだめっ・・・あっ」
剣心の爪が左之助の肌に食い込む。
しかしそれを無視するかのように左之助は剣心を責めたてた。
「んんんっ、声がでちゃう。」
言うと同時に剣心の唇が左之助の口を塞いだ。
「ん、んんんんっ」
二人はそのまま果てていった。

翌朝。
剣心は上下衛門の顔をまともに見ることが出来なかった。
昨晩の情事を見られていたのではなかろうか?
いや、暗くて見えなかったにしても声くらいは聴いていたのではないか?と。
しかしそんな剣心とはうらはらに上下衛門はそ知らぬ顔をしている。
笑顔であいさつさえしてくる。
ーなんだ。やっぱり寝てたのか。と胸をなでおろした剣心の背後での会話。
「左之助、お前ぇ、まるで獣だな。」
「!!!!」


       
タイトル…命名は城みづきでございました(笑)だってえ、ピッタリだと思うの、皆様、いかが?(笑)