「恋は止まらない」
TAKE



「・・・犬夜叉・・・・・」
黙々と歩いていた影の内の片方が、ぼそりと小声で呼びかける。
「ん?何だよ一体?」
怪訝そうな顔で返事する犬夜叉。
「・・・・・・・・」
「・・・んだよ!てめえから喋ってきやがったくせに、返事ぐれえしろ!」
無言で犬夜叉を見つめる鋼牙の視線に、思わず語気を荒げてしまう。
いつもは活発で、減らず口に憎まれ口、挙句の果てに犬夜叉と喧嘩する事もしばしばな鋼牙。
それが、今日は無言で森の中を歩き回ったと思ったら、
呼んでおいてまたもや無言のまま、見つめてくる。


ひたすら見つめてくる鋼牙。
そんな沈黙の重さに耐えられなかった犬夜叉が、どんどんと喋り始める。
「大体、どうしてんなところ歩き回らねえといけねえんだよ!?
誘ってきたと思ったら、何するでもねえ、黙ぁーって森ん中ぐるぐる動くだけ。
 闘う訳でもねえし、食う訳でもねえ。
・・・まさか、ヤる場所探してたとか抜かすんじゃねえだろうな、おい?!」
意図の見えない鋼牙の行動に苛立つ声が、静かな森の中に響く。


ひたすら真剣な顔で見つめていた鋼牙の顔が、真剣なまま犬夜叉の顔に近づく。
「ったく、何か言いてえ事でもあんのか?珍しくんな真剣な顔し」
やっと行動を取った鋼牙に、少し安心したように軽口をたたこうとする犬夜叉。
だが、その言葉は途中で遮られた。
「んふーっ、んっ・・・・・・」
いつにも増して激しい様子で、鋼牙の唇が犬夜叉のそれとぶつかる。
温かい温もりを持った鋼牙の舌が、犬夜叉の唇を湿らせた後、口内に入って行く。
牙を一つ一つ丁寧に舐りながら、唾液を絡めとり、自らの口内へ入れる。



「・・・バカ野郎・・・・・・・」
堪え切れなかった唾を一筋顎に垂らして、犬夜叉はぼんやりとしながら真っ赤になった顔で呟いた。
「どうやら、逆効果だったみてえだな・・・」
「・・何がだよ?」
普段の自信に溢れた笑いとは違う、失敗したのを誤魔化すかのような笑い。
そんな笑みを浮かべながら、やっといつものように喋る鋼牙に、犬夜叉は不思議そうに訊ねた。


「いやな、いっつもてめえと逢うと、ついつい惚れてるもんだから手ぇ出しちまうだろ?
 だから、たまにはんな事もしねぇで見惚れてるのもいいかと思ってよ」
「じゃあ、この手はいってえ何なんだよ!」
喋りながら段々と自分の衣を脱がし、袴の結び目を解いていく鋼牙に、焦りながらつい叫ぶ犬夜叉。
「だから逆効果だったっつってんだろ?・・・ったく、一緒に森でも歩こうかと思っていざ歩いたら、
 隣にいる極上の別嬪さんに、身も心も奪われちまっててよ」
「な、何阿呆な事言って・・・」
先程までとはうってかわって、熱心に自分を口説く鋼牙に、思わず眼を逸らしてしまう。
「しかも、森ん中歩いてるせいで、どうもやたらと血が騒ぐ感じでな。
んな風にして、折角俺が努力して抑えてるっつう時に・・・」
「馬鹿野郎!何処触ってんだ!!」
しかし、鋼牙は無理矢理自分の方に顔を向かせたばかりか、緩められた袴の中に手を挿し込み。
「‘ヤる場所探してるのか’なんて言われたら、なあ?」
「てめっ・・・」
はだけられた衣の合間から、チロチロと舌先で肌を擽ってくる。
「誘われてっかと思っちまっても、無理ねえよな?」
「・・バカな事言ってねえで・・・止め、ろ・・・・」
執拗に感じるところを弄ろうとする手の動きに、肌の上を這う熱い舌の感触が。
文句を言うはずの口を黙らせ、身体を木に凭れかからせてしまう。


「馬鹿言うな。このままじゃ、俺もてめえも持て余してしょうがねえだろうが」
崩れ落ちた犬夜叉の耳元で、熱い吐息と共に囁かれる鋼牙の言葉は。
「俺は・・・んな事・・・・」
「その言葉の割には、随分と威勢よく袴が盛り上がってんなぁ?」
「こっ、これはっ・・・・・!」
「隠せねえんだから、あんま無理しても意味ねえだろ」
「うるせえっ!てめえがやった事じゃねえか!」
犬夜叉に、恥ずかしさの余り声を荒げさせてしまう。
しかし、震える犬耳、真っ赤になった顔、微かに潤み始める瞳が。
そして何より、鋼牙の掌の中で熱く息づくソレが。
犬夜叉の本心を赤裸々に表していた。
「あんまり無理するんじゃねえよ?」
「〜〜〜〜〜・・・・うるせえっ!!」




そして今宵もまた、森の中に一組の恋人たちの嬌声が響き渡る。













「一杯の珈琲」のTAKE様から頂きました♪
どうもありがとうございます!
なんだかこっちが照れくさくなるような
自然で優しいお話です…
鋼牙と犬夜叉…
同じ様なモノを持っているから
惹かれあうのだろうなあと
感じられますね♪
「別嬪さん」 うふ!鋼牙ったら〜♪
どこか、私のマンガに出てきそうな作品で
とてもツボでしたよ〜♪

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寂しげでいてこころ暖まる作品群がございます。