「言葉にもせず」 



「柔らかな…髪だ…」
「う…」
「そんなこと…もうとっくに知っていたはずなのに…な。
今夜は…特に…なんだか…こう…」
「あ…そんな…!」
「この奥に…
オレだけの極楽が待っているんだよな…」
「あ!」

左之助の指は剣心の奥をまさぐっていた。
柔らかな髪…とはまさにその極楽の入り口を覆う、
剣心の密やかなベール。
左之助にとっての極楽…
左之助だけの…
指で味わい、確かめる。

「舐めても…いいか…?」
「ん…!」

剣心は秘所をまさぐられる甘美な感覚にもう酔い始めていて
ちゃんと答えることが出来ないでいた。
どうしてこの求愛を阻むことが出来ようか?
こんなにも愛してしまっている情人の求愛に。

未だかつていなかった…
自分を本気で求めてくれる情人、左之助。
その左之助の本気に対する答えは、やはり本気であろうとして。

好きだ。
その黒髪も、体躯も。
俺を、俺だけを見つめるその瞳も。
俺を抱きしめる時の、その腕の強さも。

切ないほどの想い。

だがまっすぐな目に答えられない、素直でない自分の心を
それこそ奮い起こして抱かれてきた。
そんな感情を、一度も言葉にせずに。

その間だけは
過去を思い出さぬよう、
年の差を感じぬよう、
乱れるだけ乱れてやろうとして。
そうすれば自分を騙せるかもしれないと、身体をいっぱいに開いて
左之助に任せれば…と思いながら。

「あ!さのす…け!」
舐められ、握り締められ、剣心はその感覚に目眩すら感じて…


「もう…ひとつになりてえ…けん!」
左之助が焦れて、剣心に自分を握らせた。
「な?…お前が…は…」
「うん…」
刹那、ふたりは目を合わせた。
その一瞬が合図のように、左之助が剣心の首にむしゃぶりつく。
その左之助の息遣いに、剣心は震えるほどの欲望を感じた。
「さの!」
剣心は握っていた左之助を自身の入り口にあてがい、
そのまま左之助の腰を掴み、身体を密着させる。
深く嵌まるように足を広げた。

「ん…あ!」
最も奥深いところで左之助を感じる。
「あ…剣心…!」
自分を包み込む剣心が愛しい!
力いっぱいに抱きしめあう。

「けん…剣心…いいか?」
「う…うん…いい…あ!
さの…さのは…?」
「すんげえ…いい…いっちまいそうだ…」
左之助が剣心の足を持ち上げる。
深い結合に剣心は耐え切れず、声をもらす。
「ああ…いい…さのお…」
長い緋色の髪が揺れる。
白い夜具の上を、紅い流れが波打った。

後は左之助の自由な動きを感じればよい。
左之助の、そのいつもの大胆さを剣心は欲した。
左之助は剣心の中を味わい、その快感を剣心にも味あわせようと
思いっきり深く穿つ。
剣心とともに感じているだろうこの快感は
左之助を夢中にさせた。
止まらなかった。

「剣心!一緒に…オレと…!」
「あ…さの!」
「一緒に…」
「…!」
その後はもう、荒い息づかいが部屋に響くだけ…
欲するままに求め合った。



こんなに愛してしまっては
もう引き返せない。
ならばふたりでもっと
濡れて絡み合ってしまおう…
たとえばそれがもしかしたら「罪」かもしれなくとも。
「逃げ」であったとしても。


特別な今夜は
左之助に充分に感じてもらいたい。
「ふたりでいられる幸福」を。
「生まれてきた幸福」を…


外は星さえも凍る、2月…
左之助の誕生日は
雪降る真冬だ。
こんなにも熱い情熱を持った男が冬生まれとは。
神の采配にも首を傾げるが…?
そんなことはもうどうでも良い。
ふたりの間に必要なものは
ただお互いであることを
身体を通して感じあうのだ。

それが極楽。
言葉に出来ぬほどの…



         城みづき




   04.2.14 左之助バースデイ記念?これが…(汗)