ま っスグ*ススめなくなって*イイじゃぁない。


”近頃、剣心の様子がおかしい。” 俺がこう思い始めてすでに1週間が過ぎていた。
異様に笑っていたり、機嫌がよかったりした。 と、思えば顔面蒼白で俯いていたり・・・・。
どうしたのかと問えば いつもの困ったような笑顔でごまかされてしまう。
”・・・どうしたっていうんでぇ、剣心。” 考えていても仕方ない、やはり会って
どうしたのか きちんと話そう。
俺の無い頭でどんなに考えたところで答えなんて出やしねえ。
「左之助?」
「よ♪今日は出稽古ねえのか?っとそれはそうと、 嬢ちゃん、剣心はいるかい?」
「剣心?剣心なら台所だと思うけど・・・」
「また、ただ飯食いに来たのかよ?」
「っるさいよ(笑)大体、またとはなんだよっ」
「あはははっ♪」
「笑うな嬢ちゃん(笑)・・・あれ、弥彦どこいくんだ?」
「ぁあ。これから御妙さん達と薫の買い物に付き合わされるんだとよ。」
「付き合わされるってなによ〜」薫のニラみが飛ぶ。
「ん?御妙さん達ってこたあ・・・」
「そう♪燕ちゃんも一緒よね、弥彦〜vv」 じぃ〜っと二人の目線が弥彦に集中する。
「っるせえな、何がいいたいんだよっ。それより早く行かないと遅れるぜ?」
「きゃあっ。もうこんな時間〜?左之助、剣心に留守頼んであるから
適当にお昼たべてね。夕御飯も適当に食べてくれると嬉しいんだけど・・・」
「ってどこまで行くんでえ?」
「横浜まで行くんだ♪」
「もうっ、遅れるぜ?走れ、薫っ。」
「無理よ〜、今日はこんなカッコなんだからっ。」
「慣れないくせに洒落込むからだぜ、ったく。これだから女ってのはめんどくせえ・・・」
「なんか言った??」 そんな台詞を残して、突風のような速さで弥彦と薫は出かけてしまった。
とりあえず、二人が帰ってくるまで剣心と話せそうだな。うん。
ニヤっと笑ってしまった顔を引き締める為、鉢巻をぎゅーっと締めなおす。
そそそーっと裏に回り、台所をのぞく。
相変わらずの緋の背中がそこにあった。が。
とんとんと先ほどまで快いリズムで動いていた包丁を握る手は止まっていた。
外からでは薄暗くてよく分からないが、頬に手を当てているように見える。
・・・声をかけるタイミングを失ってしまった。
如何にしようかと思考するうち、剣心の手が頬をすべりおちた。 ・・・・・血?
その頬からは血が滴っている。
どうしたんだ?只事ぢゃねえぞ?
「剣心っ?」 慌てて、台所に突っ込む。
「・・・おろっ」 振り返って明らかに動揺の色を見せたのも一瞬、頬をぬぐった。
「をぃ・・・。」 ひっこめようとする剣心の手をつかんだ。
べったりと血が滴ってしまっている手首を掴み上げる。
「どうしたんでぇ・・・」
「いや、左之、すまぬ。拙者少しぼーっとしてしまっていて・・・」
「ぼーっとしてたって・・・おめぇ・・・」
「まあ、いい。とにかく血ぃ止めねえと。」
自分の腕からばさっとサラシを引きちぎって止血する。
「おろ・・・・かたじけない。」
「今日はもう、それ止めろ・・・な。」
「でも昼飯が・・・」
「どっか食いに行こうぜ。譲ちゃん達もでかけちまってるんだしよ。」
「・・・そうでござるな。」 ・・・・・まただ。剣心の顔に影が差す。 やっぱりおかしい。
「・・・・剣心?」
ずるっと目の前で緋色が崩れるのが見えた。とっさに体を支える。
ぺたんと土間に座りこんでしまう剣心。
「剣心?」
「おろ。」
「おめぇ、最近へんだぞ?」
「へん・・・でござるか。」
「なにかあったのか?」
「いや・・・なにも。」 と立ち上がり、パンパンと袴から砂を叩く。
「なにも・・・なにもない・・・なにもないでござる。」
そう繰り返すと今度は左之助の体に崩れ落ちてくる。
・・・一体何があったんだ。ワケが分からねえ。
不審に思いながらも、その厚い胸板で受け止めてやる。
「なにもないのにこうなるのか?」 剣心はきっと疲れてるんだ、今は俺が冷静になっていなくては・・と思うが 抱きついてくる剣心に胸が高鳴ってしまうのはどうしようもない。
「左之・・・・」 ・・・剣心の香りがする。
寄りかかってくる緋色にそっと腕を回す。
少しでも力を入れたら折れてしまうんじゃないか・・・と思う。
とんとんと落ち着かせるように背中を叩いてやると、剣心が顔をあげた。
そのまま顔を落とすと触れる寸前で気付かない程に・・・かわされた。
かわしたことを悟られないように剣心は動いたつもりだろうが、明らかに・・・ ふっと頭を下げて交された。
「・・・わりぃ。」
「左之、拙者すこし疲れていたようでござる。すまなかった。」 笑った。
いつもの困ったような微笑で。変わりないいつもの剣心で。
ぱっと体を離すと、襷をとって服のシワをのばす。
「・・どっか飯、食いに行くか。」 とりあえず、言葉が見つかってよかったと束の間、安心する左之助。
「昼飯なら拙者が準備を・・・」
「いいぢゃねえか♪たまには息抜きしようぜv」
「左之のいう通り息抜きしていたら毎日がそうなってしまうでござろう?」
そういって笑う。
「ごちゃごちゃ言わないvほら、さっさと仕度しな。」
土間からさっさと上げてしまおうと剣心の体をぐっと押した・・・ びくっと剣心の体が跳ねて左之助から気付かれないように逃れようとする。
・・・なんだ?俺が元凶か?
「・・・剣心?」
「すまない。」
「なにがだよ?」
「・・・・」
「なにがすまないんだ?俺がいけないのか、剣心?」
はっきりした左之助の口調が突き刺さる。 左之助が悪いのではない。
彼はなにもしらないんだから。
でも・・・もうなにも聞かないで欲しいんだ。 少しほっておいて欲しい・・・疲れた。
「どうしたってんだよ?なあ。」
「ホントになんでもないでござるから・・・」
「なんでもないわけないだろ。」
「大丈夫でござるからっ。」 知らず知らずに語尾が強くなる。
「なんだよ・・・俺が原因か?」
「そうではござらん。」
「じゃあ、なんだよ?」
「だから本当になんでもないでござるっ」
「なあ。アレが原因か?」
「なっ。そうでもござらんっ。」
「そうならそうって言えよっ。 俺ばっか馬鹿みてえぢゃねえかッ」
「違うと言ったら違うっ」
「そうかよっ」 後ろ手に勢いよく襖を閉めてしまう。
背後で 剣心の肩がびくっと反応する。
「・・・もう・・・もういらぬっ」 剣心がつぶやくのが聞こえてくる。
「もう・・・なにもいらぬ。なにも・・・・」
左之助はもう、その場に居たたまれなくなってしまう。
・・・どうしてこうなっちまうんだよ。 ぐしゃっと髪をかきあげる。
やっぱり、アレがいけなかったのか? 思い当たる節が無いでもないだけに、・・・1週間前。
押さえ切れなかった想いを剣心にぶつけてしまって。
でもそれでも剣心は、嬉しいとvスキだと・・・言ってくれた。
それに舞い上がっちまって・・・・・あんなこと。
やっとこの手に掴んだと想った剣心に乱暴な真似は絶対に したくなかったし、したつもりもない・・・・・でも。 やはり、急ぎ過ぎて・・・いたんだろう。
ぐちゃぐちゃ考えたとこでやっちまったもんは仕方ねえけどよ。(!?:真咲)
・・・時々、剣心が見えねえよ。 あの夜、思ったんだ。
コレでもう少し剣心が知れるんぢゃないかって・・・ 体から知るなんて少し・・・と思ったが・・・・余計、わからなく なっちまったぢゃねえか。
夕暮時。 あれからどこへ行くわけにも行かず、かといって再び剣心の元へ 行くにもいけず、なにをするでもなく縁側でぼさっと過ごしてしまった左之助。
胃の方も限界・・・あまりの手持ち無沙汰がガラにもなく挙動不審な左之助を 作り上げた。
イライラと縁側と叩いてみたり、庭先で舞う雀を睨んでみたり。
「ぉしっ。」 気合入れて、立ち上がった。
ばしゃばしゃと近くにあった井戸で顔を濯ぐ。
「剣心・・・その。さっきは・・・すまねえ」 襖の外から許しを乞うが・・・
「・・・・・っ」 また反応が無い。
「けんしん?」
「ひ・・・・ッく・・・・」 すうっと目を細めると、襖を開け放った。
広い部屋の真ん中に小さな緋色の塊がヒトツ。 ただでさえ小さいのに、肩を丸めてしまうと益々淋しく見えてしまう。
「なあ・・・」 近寄って背中あわせに座り込むことにする。
・・・冷たい。 あわせた小振りな背中は一体何時からこうしていたのか 冷え切ってしまっている。
嗚咽をかみ殺す背中が小刻みに振れる。
膝で袴を握り締めていた手を取る。 やはり・・・冷たい。
すべすべとしたその手をなでてやる。 と、剣心が口を開いた。
「・・・っ・・・ない」 途切れ途切れで聞き取れない。
なでていた手をぎゅっと握り締めた。
「もうなにもいらないなんて嘘でござるっ。
ホントはもっとずっと左之を感じていたいから。 ずっとずっと一緒にいて・・・ほしいでござる。」 ここまで言ってしまっては、引き下がれない。
「拙者は、素直ぢゃないから、嘘つきだから。」
「剣心・・・・」
「俺ばっか、馬鹿みてえぢゃん・・・そういってくれたでござったな?
本当は一緒に馬鹿・・・みてほしいでござる・・・・よ。」
彼にとっては精一杯の告白。
絶対表に出さない、出せないホントの彼の言葉。
もう背中あわせは止めて、そっと顔をのぞきこむ。
いつもの笑い顔ではなく、ほんのすこし途惑ったような色を混ぜてv と、剣心の腕が左之助の首に回った。
ぐっと引き寄せるとそのまま塞ぐ。
腕にチカラが入って・・・不意を突かれた左之助の腕も そっと剣心の体に回る。
ツーっと銀糸を残して、離れる。
「もう・・・寝ちまおっか。」 びくっと剣心の体が反応する。
「そんなことしねえって。」 とんとんと背中をたたいてやる。
「すまぬ・・・・」
「謝んぢゃねえって。」
「・・・すまない」
「ほら、またっ」
「おろっ」
「・・・俺さ、わかんねえんだよ。言葉にしてくれねえと、 鈍感だから。わりぃ。」
ずりーっと布団を引きづりながら言った。
「左之が謝ることでは・・・ 拙者がいけないんでござるよ、いつだって本音で左之助はぶつかってきてくれていたのに 大人ぶった顔しか出来なくて。
拙者のほうがずうっと子どもでござるな。」
「またっ。そうやってすぐ自分を責めたり、卑下するのはよくねえな。」
おろ・・・また本音でぶつかってきてくれる。
にぱっと笑うと、まだ布団を敷き途中の左之助に当て身して 引っくり返す。
「剣心!?」
「もう寝るのでござろう?」
ごそごそと左之助の腕の中にもぐりこむ。
「・・・そうだったな」
しっかりと腕の中にソンザイを確かめると ばさっと長い髪をたばねているのをほどいた。
「左之?」
「綺麗な髪・・・してんのな」 指通りのいい髪を撫でてやっていると、 すーっと小さな寝息が起った。
「けんしん?」 ・・・疲れちまったんだな。 しっかし・・・腹減った。俺もさっさと寝ちまおっ。
どんなに棘のある言葉をオブラートで包んで言い換えたって 意味は無い。
のどすべりがいいだけで胃は引き裂けてしまうね。
本音が丸で、棘が怒りや憎しみ、迷いだったとしたら・・・。
ホントは真ん中の丸だけでいいのにね。
ハンパに優しい言葉や行為に 置き換えただけなんて、余計辛くさせるだけ。
そう、左之助はいつだって本音で接してくれていたんだ。
オブラートで包んだ見せ掛けの優しさぢゃない。
とげのとれた丸い本音で当たってきてくれてたんだ。
ぎゅっと握ったヤツの拳に棘なんてないカラ。
もっと拙者に本音を叩きつけてよ。


          
 真咲さん   「Heart of Sword」

  
剣心が・・・壊れてしまいましたι
  この情緒不安定ぶり・・・どんなに強い力があったってどんなに 強い精神力の
  剣心だってきっと疲れちゃうことはあるだろうなーと思って。
  いっつも気ィ張り詰めてばっかいる剣心だけど、
  左之助にならホントの気持ち、 
  愚痴も言えちゃうかなーと思ってます。
  薫さんに愚痴る剣心なんて見たくありませんケド。                            
  左之助になら いえることってありそうだしィ〜vvとか思っているうちに、
  こげな作文が出来上がりました(爆)                                      
  ついでに言うと、この後帰宅した薫さん&弥彦の反応が・・・
  服着たまま、よりそって 寝ちゃってるんですから(笑)
  ・・・・そして、大変おまたせ致しました城sama。
  このようなものお送りしてしまってすみません@(T。T)



    
真咲さん、かわいらしい小説をどうもありがとうございました。
    そうですね〜。この「剣心なら精一杯」というカンジがとても初々しいです。
    とてもウチのふたりじゃ、こうはいかないもので〜(笑)
    この頃たくさんの作品を書いていらっしゃいますね。
    また素敵なさの剣モノが出来たときにはご報告して下さい!
    待ってますからね〜