恋に濡れて…ふたり 
激しい雨音が安ぶしんの長屋に響いている。が、
世間に隠れるように逢瀬を楽しむ情人たちの
心からの叫びを出させる手助けとしかならない。

雨の夜にはことさら大胆になる若い情人の要求を
嬉しくもあり、つらくもあり…
今もその激しい求愛に応えたばかりの身体はまだ冷めず
いつまでも整わない呼吸に、剣心の胸は何度も上下する。

「無理…させちまったか…?…」
「いや…いい…」
「おメエの声に…においに…抑えがきかなくなっちまって…」
「それは俺のほうだ…
 お主がいつも以上に求めてくるから…
 こちらも我慢が出来なくなって…
 さの…お主気付いておるか?
 雨の日はまるで野生のケモノのようだよ?…」
「そりゃあおメエのほうだ。
 声が違う…目が違う…たまらんねえんだよ…」

左之助はいきなり向きを替えると、愛しい情人の身体を強く抱きしめた。
「ほれ…苦しいというのに…さの…」
それでも左之助は力を緩めない。
剣心は目を閉じてフッと口元に笑みをうかべる。
「お主の息だってまだ…整わないじゃないか…」
「今のは助走だ。
 本番レースはこれからだぜ?」
「え?」
左之助はいきなり剣心の上にまたがり、腕を押さえつけた。
「そうかよ…オレはケモノか。じゃあおメエは獲物だ…
 とっつかまえてやったぜ、剣心!」
「ふっ…なにを…
 獲物はお前だ、さの…俺が喰らって骨だけにしてやるさ…」
下から見上げてくる、強気の剣心。
左之助に身動きを封じられているというのに、この余裕。
「おう!そうやって笑っていろ。ひいひい啼かしてやる」
「ふふ…ケモノの交尾に情愛なんてあるものか」
剣心はにっと不敵に笑って左之助の顔を引き寄せて、
かみつくように口づけた。
左之助はそれに応えながら剣心の脚を開き、中心を握りしめた。
おう、剣心。
おメエだって戦闘準備OKじゃんか…(笑)

身を繋げられる喜びと安堵感に酔いながら、左之助は動く。
その度に揺れる剣心の腰も、充分に左之助に応えている。
暗闇の中でさえなお紅く目に映る剣心の髪は、持ち主である剣心の身を焼く本物の炎のようだ。


  そうか…剣心。
  オレもお前の炎に燃え尽くされてもかまわない。
  この恋に燃え尽きてしまってもかまわない。


激しい動きの間をぬって、荒い息を吐きながら左之助はつぶやいた。
「たんじょうび…オメデトな…けん…しん…贈り物…無くてワリイ」
「ナニを…こ、こんな…とき…に…あっ…」
「おめえに会えて…良かった…て、思ってる…」
「こういうこと…出来るから…だろ?さの?」と剣心がくっくと笑う。
「あ…笑うな…け、剣心…締ま…る…くっ!」

角度を変えて更に奥を穿つ左之助の動きは、剣心の急所をついた。
「あっ。さのっ、す…け…」





「さのお…ねえ、クーラー買おうよう、クーラー」
「金、ねえよ。買えないぜ。」
「ケーキ買ってきた」
「そりゃあ、今日が特別だからだ!」
「もお〜、日本て、なんでこんなに、あめ、降るの?
 Oh!My,God! 寒いし暑いし〜、やってられない〜」

外はざんざん降り。
窓を閉め切っての、汗びっしょりになりながらの情事に、ジョシュア剣心はもうほとほとイヤになっていた。
「金、貸す。だから広い部屋に引っ越そうよ〜」
左之助は答えない。
ちっくしょ〜、だってよお、コイツから金借りるの、なんかイヤなんだもんよ。
「もうLASに帰りたい〜」
「ああ、帰ればいいさ!フン!日本の夏はこうなんだよ!」

この頃のオレ達ってこんなケンカばっかりだなあ…
やっぱり金がないと、恋はうまくいかないもんなんだなあ…
「ホレ、こっち来いよ…」と、
左之助はジョシュアの腕を掴んで引き寄せた。
「No!No!アツくるしいよお〜、いや〜!ん!」
左之助は無理矢理ジョシュアの口を、己の口唇でふさいだ。



恋にはクーラーも必要ですよ?さの。
今も昔も貧乏さのすけを恋人に持った剣心、ご愁傷さまです♪




「明治版」と「現代版」ふたつのお話を剣心のお誕生日6/20に
引っかけて作りました。