お祭り  七条飛白
―8月某日―

祭囃子が聞こえてきた夕暮れ時。

「剣心〜はやくいこうぜェ〜!」
「左之っちょっと待てって!」
「なんだよ」
左之がはやく祭りに行こうと、地団駄を踏みながらふくれっつらで振り返った。
「本気でこの格好で祭りにいくのでござるか?」
「ああ!?何言ってんでェ、あったりまえだろー」
「・・・これは、拙者、困る・・・」
「あン?なんででぇ」
「この、浴衣・・・」
実は剣心は女物の浴衣を着ている。
しかも薫の母の。
皆で祭りにいくのだからやはり浴衣を着なきゃ!と張り切っていたが剣心の浴衣がない。
薫の父の物は背丈がちょうどいい、というので左之助が着ている。
近所で浴衣を借りようにも皆同じ考えなのだろう。
浴衣は借りれず、今から呉服屋にいってもちょうど良い浴衣はないし・・・
そんなときちょうど良い、というか悪い、というか恵がやってきたのだ。
「あらあ。浴衣ないなら薫ちゃんのでいいんじゃない?」
ときた。
そして薫も「そうね」ときたものだから今、こうして女物の浴衣をきているのだった。

「ああ、もう、こんな格好で祭りに行きたくないでござるよ・・・」
「ああん?なに言ってるんでぇ!いいじゃあねぇか!」
ぐい、と剣心の腕を左之助がひっぱる。
そんな左之助を見て剣心は仕方なく祭りに行くことにした。
「でも良く似合ってるぜ、その浴衣」
「・・・・・知らぬ!」
薄紺の生地に大きなあやめが書かれている浴衣。
所々に蛍が飛んでいるように黄色い点がある。
そして赤と黄色の帯。髪の毛は上で結ってあり、
あさがおの形をした髪飾りをつけている。
「いい女にしか見えねえなあ。な、剣心、髪の毛は結ってあるし・・・
なんか色っぺぇな・・・」
「左之・・・そんな事いっておる暇があれば早く歩け!
薫殿達はもう夜店を回っておるだろうに・・・」
「あん?そうか、先に行ってたなあ・・・そりゃ都合がいいな・・・」
「ん?なにか言ったか?左之」
「いや!なんでもねぇ!」

なれない物を着ているせいで歩きにくいのか、
剣心は左之助の腕に自分の腕を回して歩いている。
左之助はそんな剣心を見ているのが嬉しい。
『こんなに俺を頼ってくれるのか・・・』
何でもない事なのにそれが堪らなく嬉しく思う。
「左之、すまぬ、重いでござるか?」
「ぜ〜んぜん!お前さえよけりゃお姫様抱っこしてやるぜ〜」
「ばか者!!!って左之、道間違えてるでござるよ、さっきの角を右で・・・」
「こっちでいいんだよ」
「え?」
「ほら、着いた。」
そこは古びたお堂。周りには何も無い。もちろん人影なんてない。
「???左之?」
左之助は無言で剣心の手を引っ張りながらお堂の扉を開けた。
「左之、ここは・・・?このような所に何か用があるのか?」
「ああ、おおありだ、」
後ろ手にお堂の扉を閉め、剣心を自分の胸板に寄せた。
「なに・・・?」
「もう、我慢ならねぇんだよ!お前のその格好!」
「やはりそうでござったか、拙者のこの様な格好、みっともないでござるよな?
左之が怒る気持ちもわかる、
されどこの様な格好をしてもいままで何も言ってくれなかったではないか、
すぐに言ってくれれば・・・」
「何言ってるんでぇ!おめーはっ!!!」
「はい?」
「我慢ならねぇってのはあっちのほうだ!!」
いきなり左之助の口が剣心の口を塞ぐ。
「んんんんっ・・・」
そしてその口は剣心の首筋へと移動する。
「やっ、左之!!」
「もう、だめだ、もう、止まらねぇからな・・・」
「あっ・・・」
左之助の手が浴衣の裾から入ってきて剣心の太腿をなでる。
「だめ、左之、こんなところ誰かきたら・・・」
「誰も来ねぇよ・・・皆祭りに夢中なんだからよ・・・」
「あん、」
少しずつ左之助の手が帯を解きにかかる。
「左之・・・や、」
遠くの空に祭囃子。
その音さえ剣心の耳には入ってこない。
耳に入ってくる音といえば左之助の声だけ。
「あっ、左之っ・・・ああん・・・」
「剣心、おめぇ・・・ずげぇ可愛いぜ・・・」
古びたお堂の中で二人は一つになっている。
古びているせいか、左之助が動くたびに床板がきしむ。
「左之っ、もう・・・」
「剣心・・・」
二人は一気昇りつめていった。

「もう、左之、浴衣が汚れてしまったではないか・・・」
「へへっでもな、いい考えが俺にあるんだ」
「いい考え???」
情事を終えた二人はゆっくりと川沿いを歩いていた。
「左之、良い考えとは?もうそろそろ道場に着く、」
「ん?そらよっ!!」
「えっ!?」
左之助は剣心を抱え川に飛びこんだ。
「左之っ!!これは一体!?」
「へへへっ、これならなんで汚れたか理由ちゃんといえるだろ?
「川に落ちました。」ってな!」
「〜〜〜〜〜!!」

そのあと「なぜ祭りに来なかったのか」という薫の問いに
「川に落ちて、剣心が足を挫いて、行けなかった」という答えにしたため、
剣心はしばらく足に包帯をしたまま過ごすはめになったのだった。





  はいな〜20000HITおめでとう小説です。
  今日は職場の隣でお祭りがあってそのお祭りの賑やかな様子を20000HITをお祝いする、
  という意味で書きたかったのですが、やっぱりこうなりました(笑)
  しかも長いですね。すみません。


  20000HITのお祝い小説をありがとうございます〜♪(≧∇≦)ノ
   とっても幸せなふたり…読んでいるこちらも幸せ〜♪な気分ですね!