幸せはあなたから   七条飛白
某月某日、突然剣心の家に左之助がやってきた。
しかも息せき切って・・・

「左之!なにをそんなに息せき切って・・・何事でござる??」
「今年の剣心の誕生日、6月20日は友引なんだぜ」
「・・・それがなにか?」
突然左之助は剣心の両手を強く握って
「結婚式しよう!」
「はあ?」
剣心は首をかしげた。
「な?おまえ俺の事好きだろ?愛してるだろ?だからさ!」
なんという単純な・・・と剣心は思った。
「しかしな?左之、結婚式と簡単にいうけど予約はどうするのだ?
急にいっても式場とか、いろいろ・・・」
「ふっふ〜ん」
左之助はなぜか自信たっぷりだ。
「実は式場はもう決めてるんだ。
今度新しくオープンする式場さ、招待状はすぐだせば間にあうだろ?あとは・・・」
左之助は最近オープンするという、その式場のパンフレットをひろげ、一人で計画を立て始めた。
剣心はそんな左之助を見て、なんだか腹がたってきた。
「・・・でな?引き出物は、あのカタログで自分で好きなモノ選べるやつ、
あれがいいと思うんだ。料理は和洋折衷で、」
「・・・」
「ああ?聞いてんのか?剣心、」
「左之、自分だけでこんな大切な事・・・どうしてだ?なにもかも一人で・・・」
「あ、だってよう。おめぇをびっくりさせようと思って」
「なにがびっくりさせようと思った、だ?こんな大切な事、一生に一度の事・・・
一緒に・・・二人で決める事だろう?なのに・・・」
思っていたことが口から次々とでてくる。
「おいおい、怒ってんのか?だから言ってるじゃねえか・・・」
なんとか剣心をなだめようとするが一筋縄ではいかない
「そんなに拙者と一緒に決めるのは嫌か?そんなに自分勝手に・・・!」
『ああ、どうしよう、こんな事が言いたいんじゃない・・・
本当は嬉しいのになんで口からはこんな言葉しかでてこないんだ・・・』
剣心は自分が嫌になってきた。
きっとこれで左之は怒ってしまうだろう。
「じゃあ、どうすんだ?好きにしろよ」
左之助の口調は荒い。
「あ・・・あの、」
『いまごろそれでいい、と言ってもだめかな・・・?』
そう思いながら勇気をだし、言ってみた。
「いや、だいたいそれでいい。」
「よっしゃ!決まりだな?あとは神前式とチャペル、どっちがいい?
それは最初からお前に聞こうと思ってたんだ。」
「・・・神前式・・・かな?」
「じゃあ、披露宴でウエディングドレス着てくれよ。
きっと似合うぜ!その剣心の赤い髪と真っ白な衣装がよ・・・」

二人でパンフレットを見ながら来る、6月20日のことを決めていった。
時間がたつのも忘れ・・・




幸せはあなたから・2 
6月19日 夜
剣心は自分の部屋で明日の結婚式の用意をしていた。
「・・・・・」
必要な物をバッグにつめていく。
「はぁ。」
ため息がでた。
嬉しいはずなのに。左之と一緒になれる、嬉しいはずなのに。
なんだろう、この気持ち。
「はぁ・・・」
ため息がまたでた。
『お嫁にいったら師匠のごはん誰がつくるのか・・・?
洗濯だって掃除だっていままで全部自分がやってきた。
お酒すきだから二日酔いになったときどうするのか・・・』
「あ・・・れ?」
涙が頬をつたっていった。
「なに?!なんで!!なんで泣いて・・・」
なんなのだ、この気持ち・・・
世の女達は自分が嫁いでいく時、こんな思いをしているのだろうか?
だめだ・・・こんなの自分じゃない・・・

コンコン

「入るぞ」
言うと同時に比古が部屋に入ってきた。
「っ・・・・!」
剣心はあわてて顔をそむけた。
「・・・なんだ?泣いているのか?」
「泣いてなんか・・・!」
「じゃあ、その目はなんだ?赤いぞ」
「これは・・・師匠とやっと離れられる!嬉しくて泣いていたのです!」
「ふぅん・・・」
突然比古の腕が剣心を自分の胸によせた。
「師匠っ!」
「・・・泣きたければなけ。
今のうちに。明日になればお前は嫁いでゆき、そう簡単には泣けなくなる。
だから今のうちに泣いておけ・・・」
「・・・泣いていません!泣いてなんか・・・」
そう言いながらも剣心は比古の胸に顔をうずめた。
「不安だろうな、あんな年下のヒヨッコ、お前には不釣合いだし、お前を幸せにできるとは到底思えん、考えなおすなら今のうちだぞ」
「そんな事ない!左之は年下とは思えないほど拙者の事・・・」
フッ・・・比古は笑った。
「だったら泣くな、自分の惚れた相手だ、信じろ、それともなにか?
俺と別れるのが嫌でないているのか?」
「だから違うといっているでしょう!?これは嬉泣き!!」
剣心は顔をそむけた。
「・・・それはそうとお前、明日は・・・」
「寝坊するなって言いたいのでしょう!」
「初夜だろ」
「なっ〜〜〜〜〜!!」
みるみる剣心の顔が赤くなってくる。
「このばか師匠!デリカシー皆無!!でてけこのクソ親父!」
近くにあった枕を投げたが軽くかわされた。
そのうえ部屋から出ていっていた。
「も・・・う」
だんだん脈が落ちついてくる。
「師匠ったら拙者が緊張してると思ってあんな事」
剣心は笑った。
明日は笑顔でこの家を出ようと決意した

幸せはあなたから・3

どく、どく、どく・・・
脈が速い。
緊張している?拙者が?

「ん?顔が青いぞ、剣心」
真っ白なタキシードに身を包んだ左之が剣心の顔を覗きこむ。
「左之・・・」
「なんだ、せっかく綺麗な格好してんのにその顔じゃ台無しだぞ」
「・・・・・」
「・・・緊張してんのか?」
「左之は、平気?」
「平気・・・な、ワケねぇだろ、俺だって少しは緊張してる」
「なのに・・・全然そんな感じしない」
左之は自分の鼻の頭を掻きながら
「ははは・・・そりゃ、お前と一緒になれる事の方が嬉しくて・・・」
「左之・・・」
左之助は後ろから剣心を抱きしめた。
「幸せにするからよ・・・必ず、だからこれからよろしくな、剣心」
「こちらこそ・・・」


「では、新郎、新婦の入場です!」
われんばかりの歓声と拍手が二人を迎えた。
「どしよう・・・左之」
「あん?」
「なんか、拙者ら見世物みたい・・・」
ぼそぼそと会話をする二人。その間も披露宴は進行していく。


「おっこれ、うまそ〜」
「あ、本当に、いただきます〜」
二人が料理に手をのばそうとした時だった。
「それでは新郎、新婦お二方はお色直しのため・・・」
『な、なにィ〜』
左之助はしぶしぶナイフを置いた。

「左之助ぇ〜!いいぞー!がははは!!」
左之助の父、上下衛門は酒を片手に大笑いしている。
『ちっ、あのくそ親父もうできあがってやがる・・・』

あれから二度のお色直し、花束贈呈をすませあとは
出席者を見送るだけとなった。
『やっと終わった〜!さー早く帰ろう!』
二人の本音である。

「あー!疲れた!!」
ホテルのベットに剣心はダイブした。
「早く風呂に入ってゆっくりしよ、左之」
「お・・・おう!」
左之助はソワソワしていた。
『なんてったって初夜だからな!バシッと決めるぞ!』
「左之〜拙者先に風呂入っていい?」
「いいぜ。入ってきな」
左之助はこれから繰り広げであろう世界に期待している。

「左之、おまたせ、いいお湯だったよ。お先〜」
湯がりの剣心の肌はほのかなピンク色をしていて物凄く色っぽい。
左之助は思わずこのまま押し倒そうとしたい気持ちを押さえ
バスルームへ入っていった。
「くっは〜剣心・・・かわいいなあ・・・ぐふふ・・・」

左之助は風呂をでた。
風呂の中で妄想ばかりが一人で走っていたがそれが
もうすぐ現実となる、と思うと早足で剣心もとへといった。
「剣心・・・」
ベットに横になって待っている剣心の肩を抱いた。
「剣心・・・」
『俺に身をあずけているにしては・・・なにか違和感が・・・』
「んげ!」
剣心は疲れの為か、寝息をたて眠っていた。
『なんなんだよ・・・ったく・・・』
左之助の体を一気に疲れが襲う。
「まあ、いいか、今日は疲れたもんな。」
左之助は愛しい剣心の唇にそっと口付ると横になって
そのまま夢の世界へと落ちていった。




おおお!サンキュー、かすりちゃん!
偉大な3部作!
楽しくてワクワクな花嫁剣心…
でも心の中では不安だったのね…
でもでも大丈夫!
あなたの左之助は本当に男らしい人ですから、ご安心♪