「星降る夜に君とデュエット」


今日はふたり揃っての雑誌の取材。
インタビューなど慣れないのでどことなく緊張に顔がこわばるふたりである。
「ようこそ。今日のゲストは相楽左之助さんとジョシュアさんです。
どうぞよろしく。早速ですが昨年に引き続き人気がありますね、
おふたりとも。」
「ありがとうございます〜、なんか照れますね、な?ジョシュ?」
「ハイ〜(にっこり)」
「相楽さんは大河ドラマにも出演されて、舞台の方でも暮れの「クリスマス・ボックス」にも出られて、良い年になりましたね」
「はあ…(照れ笑い)大河はチョイ役で2〜3週しか出ませんでした。
でも時代劇に出られて興奮しました。
日本刀を振り回す殺陣を練習して、考えが変わりましたね。
やっぱり日本人だな〜と。面白かったです。
クリスマスボックスもこれまたチョイ役で、セリフも2〜3語あとは群舞でしたが、いい芝居で感激でした。
黒木さんは美人ですし、
東山さんはいろいろと良くして下さって…ファンからの差し入れ分けてもらっていっしょに食べたり、舞台での効果的な立ち場所を習ったり…
彼は本当にいい役者だと思います。」

左之助はじっくりと言葉を選びながら話す。
ジョシュアにはわかりにくい言葉もあったが、左之助の言いたいことは分かる。
この1年、左之助がどんなにがんばっていたか、どんなに成長したか…
ジョシュアにもそれはよく分かっていたからだ。
去年の芝居から左之助はグラビアや雑誌、CMの仕事なども少々引き受けることになった。
でもそれは左之助にとってはアルバイトと同じで、どうしてもお金にならない舞台の方の仕事に燃えてしまうのだ。
そんな左之助の希望をかなえてやりたい…
ジョシュア剣心はそう思って我慢もしてきた。
稽古のたびに帰りが遅くなる左之助、日本語の壁はだいぶ慣れて薄くなってはきたけれど、友人のいないジョシュアはヒマ。
けれどこうやって「さの&ジョシュア」のお仕事も少し増えてきた。
だが、不本意なモデルの仕事…なのだ。(泣)
これも広い部屋に越す費用稼ぎと我慢する。

「相楽さんとジョシュアさんのポスター、いいですよね。
こう、おふたりの対比というか…ジョシュアさんの中性的な魅力がファンにはたまらないんじゃないでしょうか?女性ファンも男性ファンもいるんですよね」と、
女性インタビュアーの目が輝く。
「ハア〜、さのと一緒のポスターに出られてウレシイです…(小声)
あちらこちらで女の子?と聞かれるのがハズカシイですけど…」
「まあ、そこが魅力的だと思いますけれど?」(リキが入る)
頬を染めてジョシュアを見るインタビュアーに
左之助は一瞬ムッとしたが、顔には出さずに語った。
「今度ふたり一緒に写真集出すんで…それ見て欲しいですね。」
「んまあ!ほんとですか!ええ、ぜひ見ます!ファンには堪えられませんね!」
…火に油を注いでしまった。
「それってひょっとしてヘアヌードとかもあるんですか?それともおふたりのハダカの絡みとか?」
ブッとジョシュアがお茶を吹き出した。
「ええ〜、はあ〜、まあ…これから撮りますので…どうかな…」と
さのは出来るだけ平静を装う。
「左之助さんって(もう相楽さんではナイ)、いい身体していますものね、
何かスポーツでもやってらした?」
「はい、空手をずっと…でも文化祭とかではもっぱら芝居…」
「まあ〜!そうでしょう、どうりで〜!いい胸板していますもの!」と、
すっかり彼女自身の言葉になってしまっている。
ジョシュアは気に入らないので慌てて口をはさんだ。
「ボクも…ハイスクール時代にニホンの武道、やりました。カラテ、ケンドー、
ジュウドー、いいスポーツです〜」
「そう言えば、日本人とのハーフでいらっしゃるんですよね、日本名が
剣心と言うんでしたね、ステキですよ!」
今度はジョシュアに矛先が向いて、左之助は気に入らない。
「でもコイツの本当に得意なのは射撃で…」
ジョシュアが左之助の足をけっ飛ばしたのでこの文は途中で切られた。
「あの事件」を聞かれるのはイヤだったのだ…
「でええ〜、来年もがんばりますので、オレ達をよろしくお願いいたします〜、
な?ジョシュ?」
「はい〜、どぞ、ヨロシク、ハッピークリスマス&ハッピーエンドオブイヤー!チュ!」
「まあ!かわいい!絶対見ますね、おふたりの写真集。楽しみです!
(驚喜する女性インタビュアー、今度はジョシュアの足をけっ飛ばす左之助)
今日はどうもありがとうございました!」
すっかりとご満悦になってインタビューは終わった…(汗)


「なんかイヤー!あのヒト、さのに色目使ってる〜」
「いや、オメエにだ!見たか?目が潤んでたぜ?」
ふたりは渋谷の街をハンズに向かって歩いている。
これからまたジグソーを買って、美味しい物を食べて、ふたりでクリスマスを祝うのだ。
「あのヒト…さのをスキ…嬉しいけど、ちょっとイヤだ…」
「剣心…」
左之助は街中にもかまわずに剣心を抱きしめた。
愛しさがどんどんと湧き出てきた。
「剣心…先にホテルにしよう…オレ我慢出来そうにないや…」
「NO!いやだ!ハンズだ!クリスマスリースとジグソー買う!」
「ジグソーは逃げねえってば。明日でもいいじゃないか!」
「いや〜!オレが逃げる!ハンズ行く。じゃね、さの」
「おい、こらあ、剣心〜」
左之助の腕を振り払って剣心は駆け出した。


来年こそは広い部屋に越せる!
ふたりでもっと幸せになるんだ!


剣心の後を追いかける左之助は幸福だった。
人混みに紛れようにも紛れない目立つ茶髪の剣心。
左之助にとってはまさにクリスマスの天使に見えた。